「三翠園」の敷地は旧土佐藩・山内家に仕えた武士が暮らした場所で、宿の名は、歴代藩主の墓所がある筆山の緑と、市内を流れる鏡川の緑、敷地に広がる日本庭園の松の緑の3つの緑(翠)にちなんで名付けられた。「幕末の四賢侯」山内容堂公の下屋敷長屋も宿の敷地にあり、国の重要文化財に指定されている。容堂公といえば、大河ドラマ「龍馬伝」で近藤正臣が演じた怪物ぶりが記憶に新しい。大政奉還の直前、慶応3年2月17日に西郷隆盛と未来の日本について意見を交わしたのは、ここ「三翠園」の日本庭園だという。 往時の風格を感じさせる大門と、その先にそびえる14階建の近代的な佇まいのコントラストは、伝統と最先端のホスピタリティを併せもつ宿の特長を物語る。先の日本庭園に藩政時代に各地の大名から贈られた木々や、昭和25年昭和天皇のご宿泊記念に植えられた黒松などが風情溢れる眺めでゲストの目を楽しませ、別館として建てられた本格温泉施設「水哉閣」では平成9年に湧出した天然温泉とモダンな設備でゆっくり心身を癒してくれる。客室のなかには高知城を一望できる部屋もあるのだとか。幕末と現代のタイムスリップを脳裏で繰り返しながら心地よい時は静かに過ぎていく。 |
▲写真上:幕末の香りを色濃く感じさせる大門。現在も宿の入口として使用されている。/写真下:全国的にも貴重な重要文化財旧山内家下屋敷長屋のなかには、幕末から明治にかけての家具や民具が展示されている。 |