日本では珍しい横穴式の泉源から1日あたりに湧出する温泉は約7,000t。湯が海岸に勢いよく流れる様から「走り湯」と名付けられた日本三大古泉は、今から遡ること1200年前もから人々を癒し続けている。
 熱海灘を一望する伊豆山の森に、その「走り湯」を引き、寛永2年から160年の間、熱海随一の場所として要人たちにも贔屓にされてきた老舗宿が「界 熱海」のルーツ。現代の快適性を備えた館内で迎えてくれるのは、「熱海歳時記」と称される熱海の文化や美意識を感じることができるおもてなし。代表的なものが「界 ASOBI」だ。今も100超える置屋があり、200人以上の芸妓が旅人をもてなす熱海の文化を、敷居を気にせず身近に感じてもらうために考えられた趣向で、芸妓さんの舞や、投扇興などのお座敷遊びを気軽に楽しむことができる。もちろん、移ろいゆく春夏秋冬の季節を卓上に映し出した料理も大きな魅力。熱海の地のすばらしさが、そこにも余すことなく表現されている。
 湯上がりに海に向かって空中に浮かぶように張り出した「青海テラス」に出ると、さわやかな海風が身体を撫でる。まさしく伝統とモダンの粋を集めた上質で優雅な「別世界」。名湯を思う存分楽しむ。春夏秋冬の伊豆山の幸を味わう。そして芸妓遊びに興じる。世の旅好きの羨望を集める温泉旅が、「界 熱海」に用意されている。

▲写真上/日本三大古泉である伊豆山温泉の源泉の名を冠する桧の丸太組の大浴場「走り湯」。木々の梢越しに相模湾の海原を望む絶景と源泉かけ流しの温泉は心身ともに英気を養うことができる。部屋から温泉までは「登竜坂」と呼ばれる約170段の階段を通って。楠の大樹を愛でながらのんびり散策気分を。 写真下/毎晩開催の熱海芸妓と愉しむ「界ASOBI」。