雲仙に湧く温泉の温度は98度、地底から噴き出す噴気に至っては120度に達するという。温泉の熱気が白く立ち込める光景は、見るものに人智を超越したものへの畏怖を感じさせる、まさに「地獄」そのもの。「雲仙宮崎旅館」は、その界隈随一の観光スポットである雲仙地獄のすぐ傍にあり、客室のなかには雲仙地獄を一望できる部屋も用意されている。
 日本庭園に面した部屋からは、晩秋の彩りの眺めが楽しめる。寒さが増すと幻想的な霧氷が見られるのは、この地が標高700mほどの高原にある旅人にはありがたい地の利。「雲仙宮崎旅館」の自慢の日本庭園は雲仙一と称され、春はミヤマキリシマが咲き、夏は深緑で一面が覆い尽くされるという。
 メタケイ酸を豊富に含む美肌の湯は、雲仙地獄のなかでもひときわ高く噴気を上げる大叫喚地獄、邪見地獄から。50mg以上で「美肌効果があり」とされるメタケイ酸の含有量は、103mgと、「美肌形成によい」とされるレベルにおよぶ。周囲の自然を借景にした露天風呂で肌と心に潤い補給すれば、日々の忙しさや煩わしさも、旅の疲れも何処。「地獄」の傍で「極楽」を知る。  

▲写真上:雲仙随一の日本庭園。のんびりと散策すれば、宿に居ながら雲仙の自然を満喫できる。/写真下:天上が高く開放感のあるロビー。大きな窓の向こうに日本庭園が広がる。チェックインはカウンターではなく、ロビーのソファでごゆっくりと。